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Cardboard Technologies

Cardboard Technologies https://www.cardboardtech.com

Cardboard Technologies社の製品である、段ボール製の自転車と車椅子が展示された部屋で、創業者のひとりニムロッド・エルミシュは「私たちは自転車や車椅子を売っているのではない」と言う。「資源のリサイクル、地元の雇用の創出、社会的弱者の自助努力を生み出すステップ」これが彼らの本当の「製品」なのだそうだ。

Cardboard Technologies社は 2009年にオートメーションの技術者イズハル・ガフニ(趣味は自転車)と、彼の幼馴染、ニムロッド・エルミシュによって設立された。

彼らの作り出す自転車と車椅子の原料は、段ボール、古タイヤ、ペットボトル。世界各地でその処理が問題となっている「ゴミ」だ。これらを原料に、オートメーションシステムで大量生産する。労働力も、原材料も、地元でまかなう。

自転車や車いすは大変便利なもので、場合によっては基本的な生活の質を左右するものだが、どちらも決して安いものではない。しかし、上記のシステムで作られたCardboard Technologies社の製品は、車椅子1台US$15~20という低コストだ。もちろん耐水性で、普通の自転車、車椅子と比べて、乗り心地、強度、なんの遜色もない。段ボールやペットボトル、タイヤを自社製品に利用している企業が、ロゴを入れてこの車椅子や自転車を社会的弱者に提供すれば、宣伝になるうえ、政府からの税返還が得られる国もある。まさに、世界のどこでもWin・Winだけでなく、さらにあと2つほどWinが並ぶようなシステムを作り上げたのである。

居合道が取り持つ縁で、元在日イスラエル大使の親日家エリ・コーヘンとの出会いがあり、過去に日本の大手製紙会社からも資金を調達した深い関係がある。そこから転じて、Cardboard Technologies社の車いすは、日本人の体や住居環境を調査しつくしたうえで作られた日本向けの製品なのだそうだ。

2012年に初の投資を受けて以来、パテント取得のために5年以上の沈黙を守り続けた。世界のどこでも段ボールは梱包のための材料でしかなく、彼ら自身で段ボールのありとあらゆる側面を研究しつくした。あり得ない話だと笑われ、自身の給料もままならず、何度も夢ついえたと思うことがあったという。しかし、時が来た。2018年4月22日、アメリカで行われる世界最大規模のEarth Day のイベントで、彼らの自転車は目玉製品の一つとして会場を飾るという。

現在、最終ラウンドの資金調達中とのこと。「自転車のパーツには折り紙の技術も用いられているし、私は日本ととても深い関係があります。イスラエルと日本の関係が今後ともより強化されていくことを心より願っています。」居合道の刀の飾られた彼の部屋で、ニムロッドは折り目正しく日本への挨拶を述べてくれた。

株式会社レジェンド・パートナーズ イスラエル在住エディター 中島直美



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