Open Valley https://www.openvalley.co.il
コワーキングスペースは、立地条件の良い大都市にあること。それが世界の常識である。しかし、OpenValleyはこの常識に逆転の発想を持ち込んだ。「コワーキングスペースが、その地域の立地を良くする」。OpenValleyは、「地方の活性化」を目標の一つに掲げ、コワーキングスペースをベースに、エコシステム創成を目指している。
OpenValleyの所在地は、ラマット・イシャイとカイサリヤ。近くオープンするのは、ヨクネアムとカルミエル。イスラエルに詳しい世界のビジネスマンでも、この所在地がすぐにわかる人はどれほどいるだろうか。イスラエルでビジネスと言えばテルアビブ。それが普通の発想だろう。
OpenValleyの創始者はヨスィ・アケルマン、オフィール・ドゥボビ、エステル・バラック・ランデスの3人。エステルはNielson Innovate Found の創始者であり、ヨスィはElbit Systems(www.elbitsystems.com) 、オフィールはKaminario(www.Kaminario.com)といった、世界的に大きく成長した会社の創始者で、スタートアップのエグジットを何度か果たしている。
オフィールは自身が郊外に住み、初めて起業した頃は、毎日遠く、ビジネスの中心地である『テルアビブ国』まで通い続けた経験をもとにOpenValley創始の発想を得た。「OpenValleyはただの不動産業ではない」というポリシーから、スペースを貸し出すお客さんは「起業家」に限定。「せっかくスペースを借りに来ていただいても、丁重にお断りする場合もあった。」と言う。
大企業や海外からのスカウト、業務提携、投資のチャンスを地方に持ってくるために、様々なワークショップやミートアップを開催。また、地域の生活に密着するために教育庁と連携して、地域の高校を対象に「起業家教育」を行っている。この地域の学校に子供が通っていれば、大都市に赴くまでもなく、正規授業として普通に「起業家教育」が受けられるのである。そして彼らはすでに、次のステップ、このモデルを世界に輸出することも考えている。
「失敗したことがない人は、何もしたことがない人」。創始者の3人は異口同音に「起業」について語る。大会社を設立、運営、売却した彼らは、挑戦することをあきらめない。「成功」のために挑戦するのではなく、「挑戦」のために挑戦する。0から1を作り出す。イスラエルが「スタートアップネイション」と言われる理由が、郊外に建てられたコワーキングスペースの中にもあることを実感した。
株式会社レジェンド・パートナーズ イスラエル在住エディター 中島直美
